Step.6 店舗施工
Step.6-1 業者探し
不動産会社と同じで、設計・施行業者にも得意分野はあるので、
飲食店向けの物件に強い業者を探します。
飲食店専門の業者であれば、カウンターの高さや幅、イスの間隔など、
実際に使ってみないとなかなか分かり
にくいところまで、気配りができます。
飲食店経営について、相談に乗ってくれるような業者を選ぶことが重要です。
■業者を見るポイント
信頼できる業者を見極めるポイントとして、次のような点があります。
@工事見積書
見積書の中に、やけに「○○○一式」という項目が多く、
個々の数量や種類、型式の表記が省略されているときは要注意です。
良心的な業者であれば、細かな見積りまで出し、
こちらから要求しなくてもカタログと対照して説明してくれます。
A"安さ"を強調
最初から必要と分かっているものでも、「相手は素人だから気づかないだろう」と、
敢えて最初の見積りからは外しておき、後から追加というのは、よくあるテクニックです。
したがって、見積りを依頼するときに予め「追加は一切認めない」ことを念押しします。
B施行事例
設計・施行の経験を判断するには、その業者がこれまでに扱ったお店に案内してもらい、
実際に自分の目で確認するのが一番です。
お客として食事をしてみれば、店内の居心地を体感したり、
細かい仕上げ具合も確認できます。
C地元の業者
何かあったときにでも駆けつけることができるし、
開業後にもメンテナンス等で依頼することもできます。
D下請け業者
下請け業者に回す業者だと、責任の所在が曖昧になりやすいので、
内装・厨房・空調等の工事を全て自社で賄える業者を選びます。
■契約するときのポイント
契約を結ぶときには、次のような点に注意します。
@必ず合い見積りをとる
少なくとも3社からは必ず合い見積りをとります。
そうすることで、業者の見積り項目の抜け漏れなども見抜くことができます。
もし、設計図が業者によってバラバラで、一律に比較しにくければ、
まずは一社から設計図を作ってもらい、
他社にはその設計図を基に見積りを出してもらうのもひとつです。
A価格の高い・安いだけで判断しない
安い見積りには、項目が欠けていることもあります。
また、空調を安く仕上げたため、容量が足りずに冷暖房が利かなかったり、
排気が悪かったりするトラブルも発生することがあるので、
「安い=良い」と単純に判断しないようにします。
B契約書に「追加料金は一切認めない」旨を一筆入れる
見積書で見かけ上安く見せるために、
後で追加が発生する項目を敢えてはずされたりしないようにします。
C工事が遅れた場合の一日あたりの営業保証金額を明記
「引渡日=工事完成日」ではないです。
引渡日は、工事が設計図どおりに仕上がっているかを確認する日なので、
問題がなければ完成ですが、問題があれば補修工事をしなければなりません
完成が遅れると、その分オープンも遅れ、空家賃等の無駄な資金が発生するため、
契約書には必ず「完成日」を明記し、遅れた場合の保証内容も決めておきます。
D最後の支払は工事が終了した後(完成時)と明記
工事代金の支払方法は、契約時、工事途中時、引渡日に分けて1/3ずつ支払うのが一般的です。
しかし、最後の支払は、単なる引渡日にしておくと、最後の支払が済んだら、
補修工事をしないまま業者が引き上げてしまう可能性があります。
したがって、必ず工事が終了した後(完成時)に支払うと明記しておくことで、
業者が補修工事を後回しにしないようにします。
Step.6-2 店舗設計
お店を一度オープンすると、簡単に改装することはできません。
したがって、あとで後悔しないよう、慎重に設計する
必要があります。
よく見落としがちなポイントとしては、次のような点があります。
■厨房(キッチン)
@調理人にとって働きやすいレイアウト
いかに短時間で調理を提供できるかが顧客満足度や回転率のポイントになります。
そのためには調理人にとって、調理しやすい機材の配置でなければならなりません。
調理人に見てもらい、調理しやすいかを確認します。
A扉を開けたときのスペース
特に厨房に2人以上入る場合は、人のすれ違うことを考えたスペースを確保します。
冷蔵庫を空けたら人が通れないなど、忙しく働いているときに、
ちょっとしたフラストレーションがたまることで、
思わぬミスを招くこともあります。
B製氷機の容量に注意
どれくらいの客数を見込んでいるかを考えれば、
どれくらいの氷が必要になるかの見当がつきます。
そのとき、氷が十分なだけ確保できているか、
その容量のことを考えておきましょう。
製氷機を安く押さえて、氷が足りなくなり
、氷なしでドリンクを提供ということにならないように注意です。
C厨房備品の収納スペースを確保
キッチン内で、必要なものを必要なときにすぐ取り出せるよう、
収納スペースのことも考えておきます。
Dシンクは2〜3ヶ所
もしスペースに余裕が取れるなら、グラスを洗うシンクと、
鍋などを洗うシンクで分けると、使い勝手は良くなります。
■客席(ホール)
@テーブル席は二人掛けで、移動可能に
テーブル席は4人掛けが基本だが、4人席の実質客数は平均すると二人以下なのだ。
したがって、テーブル席は2人掛けを基本とし、3人以上で来客の場合は、
2名席をくっつけて臨機応変な対応をするようにするば、
お客に対し相席をお願いする必要もなくなる。
A荷物置きを設置
特にカウンター席などは、荷物を置く棚などを設置していないために、
席の横に荷物を置いて、席が埋まってしまうケースがよくある。
席が荷物で埋まったり、荷物をどけてもらう嫌なお願いをする必要をなくすため、
荷物を置ける棚やかごを用意しておく。
B収納スペースを工夫して設ける
例えば、ソファーの下など、普段、
人目につかないところに収納スペースを設けることで、
備品の収納力をアップします。
Cトイレは「便所」ではなく「化粧室」の発想で
気分よく使えるトイレはサービス業の基本です。
食事前にトイレに入ったときに、トイレが汚ければ、それだけで食欲が落ち、
どんなにおいしい料理を提供しても、リピートしなくなります。
特に女性は敏感なので、化粧直しもできないお店には足を運びません。
Dカウンターの高さは1m以下
デザイン性を考えるあまり、カウンターの高さが高くなると、
女性にとっては座りにくくなってしまいます。
Step.6-3 店舗施工
■施工中の注意
@工事前に近隣に挨拶
単に工事で「ご迷惑をおかけします」という意味だけでなく、
これから「末永くお付き合いをさせていただきます」という意味もあります。
着工前にひと言あるとないとでは、近所の人たちの印象はかなり違ってきます。
できれば、施行業者と一緒に挨拶に行くと良いでしょう。
A施行業者との付き合いも大切に
現場に顔を出すときには、缶コーヒーや菓子類など、
必ず何か差し入れをするようにします。
工事の人たちの気持ちも随分と変わり、仕事の質も変わってきます。
Bこまめに足を運ぶ
予定どおり工事が進んでいるかの確認の意味もありますが、
棚の高さなど、実際に見てみないと、
図面だけでは分からない部分をチェックして、
こまめに手直ししてもらうこともできます。
■店舗引渡時の注意
店舗引渡しの時には、業者の方が帰る前に、必ず下記の点を確認しましょう。
@機器類
スイッチがあるものは全て動かしてみます。
A空調設備
少なくとも半日くらいは運転させます。
B厨房の換気扇
魚でも用意しておいて、実際に焼いて煙の流れを確かめてみます。
自動点火コンロは、点火部分の不良で着火に問題があることも考えられるため、
何度も点火してみます。
C建て付け
窓や戸なども全て、何度も開け閉めしてみて、建て付けを確認します。
どれか一箇所でも立て付けが悪いところがあると、それがイライラのもととなり、
何かと仕事に支障を来たすことになりかねません。
Dイス・テーブル
イスは実際に自分で座ってみて、座り心地に問題がないかをチェックします。
また、グラグラしないか、傷はないかなどもチェックします。
E照明
昼間の引渡しだとつい抜けがちなので、忘れないようにチェックします。
看板も点灯してみます。
F補修対応
問題箇所があれば即座に補修を指示しますが、
その補修内容は文面化して、業者に渡すようにします。
口約束ではあてにならなりません。
もちろん、無料で対応してもらいます。
⇒ Step.7 仕入れ